ナーストケラトプス:白亜紀の装飾恐竜
発見と命名
ナーストケラトプス(学名:Nasutoceratops)は、2013年に正式に命名されたセントロサウルス亜科の角竜類です。ユタ州のカイパロウィッツ累層から発見され、白亜紀後期(約7600万年前)に生息していました。ナーストケラトプスの化石は、ユタ大学が指揮したカイパロウィッツ・プロジェクトの期間中、2006年にグランド・ステアーケース・エスカランテ国立公園の砂岩層で発見されました。
体の特徴とサイズ
ナーストケラトプスは全長約4.5メートルから6メートル、体重は約1.5トンから2トンと推定されています。その名が示す通り、大きな鼻と特徴的な角を持っています。特に目の上に生える2本の角は、現代のウシのように横方向に強く湾曲しながら前上方に伸びており、他の角竜類とは異なる独特の形状をしています。一方、鼻の上の角は発達しておらず、低く狭い形をしています。
頭骨とフリルの特徴
ナーストケラトプスの頭骨は約1.5メートルの長さがあり、鼻骨に大きな内鼻孔が見られることが特徴です。この内鼻孔は、鼻腔から骨に入り込む空洞を形成しており、他の角竜類では見られない独自の特徴です。上顎には29本の歯槽があり、それぞれに複数の歯が積み重なっています。また、フリル(襟飾り)は大きく丸みを帯び、縁頭頂骨や縁鱗状骨は尖っておらず、低い三日月状の形をしています。
化石標本
ホロタイプ標本(UMNH VP 16800)は部分的に関節した頭骨、後頭顆、頸椎、三つの部分的な前方胴椎、肩甲骨、関節していない左前肢、右前肢の一部、そして皮膚印象を含んでいます。他にも2つの標本が参照されています。UMNH VP 19466は成体の頭骨の一部で、不完全な前上顎骨、上顎骨、および鼻骨で構成されています。UMNH VP 19469は亜成体の癒合した鱗状骨です。
生態と行動
ナーストケラトプスは草食恐竜で、低木やシダ類などの植物を食べていたと考えられます。群れを作って生活していた可能性が高く、外敵から身を守るとともに、繁殖行動や子育てに協力していたと推測されます。角やフリルは、防御だけでなく、種内のコミュニケーションや繁殖行動にも重要な役割を果たしていた可能性があります。
系統と進化
ナーストケラトプスは、原始的なセントロサウルス亜科に属し、近縁にはディアブロケラトプスやアルベルタケラトプスが含まれます。これらの恐竜はナーストケラトプスが生息していた時代には既に絶滅しており、ナーストケラトプスは原始的なセントロサウルス亜科の生き残りとされています。2016年には、ナーストケラトプス族(Nasutoceratopsini)として新たに分類され、このグループにはアヴァケラトプスやマルタケラトプスが含まれます。
文化的影響
ナーストケラトプスは、2019年の短編映画『Battle at Big Rock』で初めて映像化されました。この映画は『ジュラシック・ワールド』シリーズの一部で、ナーストケラトプスがアロサウルスと対決するシーンが描かれています。また、ナーストケラトプスは玩具やゲームにも登場し、一般の人々にも広く知られるようになりました。
結論
ナーストケラトプスは、その独特の角とフリル、そして大きな鼻を持つ特徴的な恐竜であり、白亜紀後期の北アメリカにおける重要な草食恐竜です。最新の研究により、その進化や生態について多くのことが明らかになりつつあり、今後もさらなる発見が期待されます。ナーストケラトプスの研究は、恐竜の進化と多様性を理解する上で欠かせない存在です。