ギュスターブ:ブルンジの恐怖の人食いワニ
ギュスターブ(Gustave)は、ブルンジのタンガニーカ湖およびルジジ川に生息する巨大なナイルワニの個体名です。現地住民や関係者によると、ギュスターブはこれまでに300人以上を襲ったとされ、そのため「人食いワニ」として恐れられています。
発見と命名
ギュスターブは1990年代から現地で研究を続けているフランス人研究者のパトリス・フェイによって「Gustave」と命名されました。フェイは約10年間、ギュスターブの捕獲と殺害を試みましたが、後に観察と保護に目的を変更しました。
形態と特徴
ギュスターブの正確な大きさは測定されていませんが、推定される全長は6メートル以上、体重は1トン以上です。これにより、ギュスターブは通常のナイルワニ(全長4〜5メートル)を大きく上回るサイズです。体には機関銃や拳銃の弾痕がいくつかありますが、致命傷には至っていません。その鱗は非常に強靭で、防弾チョッキに例えられることもあります。
行動と生態
ギュスターブは、地元民の家畜である牛や馬を単独で水中に引きずり込み、捕食することで知られています。また、成獣の雌カバを捕食したという未確認の報告もあります。地元住民は、ギュスターブが人間を襲うのは快楽のためだと信じており、実際に襲われた被害者の中には食べられなかった者もいます。
襲撃と捕獲の試み
ギュスターブが人間を襲うようになった原因については、ブルンジの内戦中に川に遺棄された戦死者の遺体を食べて人間の味を覚えたという説や、体が大きくなりすぎて動きが鈍くなり、俊敏な獲物が捕食できなくなったためという説があります。
ギュスターブを捕獲しようとする試みは何度も行われましたが、いずれも成功していません。2004年には、パトリス・フェイが出演したナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー「Capturing the Killer Croc」でギュスターブの捕獲を試みましたが、内戦の危険性などから中止されました。
目撃情報と現在の状況
2008年を最後にギュスターブの目撃証言は途絶えていましたが、2015年6月に地元住民が水牛を捕食する姿を目撃し、生存が確認されました。ギュスターブは現在も生存しているとされ、世界中の研究者が注目する存在となっています。しかし、ブルンジの不安定な政情により、満足な調査は行われていません。
結論
ギュスターブは、その巨大な体と恐ろしい襲撃行動で、ブルンジのタンガニーカ湖およびルジジ川周辺の住民にとって脅威であり続けています。彼の存在は、地域の自然環境や政治状況に多大な影響を与えており、今後もその動向に注目が集まることでしょう。