古代の超巨大ムカデ!、その姿はまさに妖怪!、アースロプレウラ!
ムカデ人間
何年か前に「ムカデ人間」というある狂気的医者が複数の人間をつなぎ合わせて、ムカデ人間を作り出すという狂気としか言いようのない設定の映画が2010年に放映されたが、日本では内容がショッキングすぎて、当初は公開禁止でDVDだけで公開される予定だった。
だが口コミで公開を望む声が広まり、劇場公開にこぎつけたらしい。続編の「ムカデ人間2」もあまりにも強烈すぎる内容からR-18指定することで何とか公開にこぎつけたのこと、DVDのパッケージもその映画内容を警告する意味合いの、ある種、とんでもない異様なパッケージデザインをしている。 ムカデというとグロテスクで危険なイメージが付きまとう昆虫である。
日本では「トビズムカデ」が最大種として知られる。どのムカデも肉食性でほかの昆虫どころか、場合によってはネズミやコウモリすら獲物として狙い性格も凶暴で、人間がつつくなどで挑発するとすぐさま噛みついてくるほど。 場合によっては屋内に入り込み、靴の中に潜り込み、知らずに靴を履いて噛まれるというケースも聞く、顎に強力な神経毒と鋭い牙があり、噛まれるとかなり痛みがあり、場合によってはアナフィラキシーショックを起こす場合があり、噛まれたらすぐに病院に行き診察を受けたほうがいい。
ちなみにその見た目が坑道に似ているのか、ムカデは鉱山の守り神として、赤城山の神体や財宝をつかさどる「毘沙門天」の使いだとされ、以外にも神格化もされている。またその凶暴性と、決して後退しないという意味を込めて、戦国時代の武将にも好まれており、鎧の兜や甲冑などにムカデの意匠を取り入れていたともされる。
中国では漢方薬の一種にもなっている、魔女が怪しげな儀式に使うイメージがあるが、あながち誇張表現ともいえない。日本の神話でも巨大なムカデの妖怪を退治したとされる「俵藤田」の伝説がある。
巨大昆虫 アースロプレウラ
巨大昆虫が生息した酸素地獄の時代、石炭紀の記事を書いたが、その時代の二大トップといっていい、体長3メートル、体幅は45センチに達する巨大ムカデ「アースロプレウラ」が今回の主人公である。
今から約3億6000万年前の石炭紀に出現した、石炭紀の代表的な節足動物で、厳密にいえばムカデやヤスデとも別種だが、その姿はムカデといってほぼ差し支えない。というか創作作品によっては巨大ムカデでほぼイメージが浸透している。 化石はアメリカ、ヨーロッパで断片的なものが発見されている。
当時の石炭紀の高濃度の酸素の影響とまだ捕食者たる陸生動物が少なかったため、小型化の必要がなくここまで巨大化できたとされる。 しかしいかつい見た目に反して、見つかった化石の消化管の部分を調べると、植物の胞子の一部が見つかり、食性は落ち葉等を主食にする草食性だったとされる。
体は巨大だが体節をたくさん持ち、柔軟な構造で森林にも適応した体になっていた。体重も巨体な分、かなり重く、スコットランドでは這った後の化石も確認されている。 当時は巨大なシダ植物が大いに繁栄した時代であり、地面にはたくさんのシダの葉が落ちており食糧には事欠かなかったことだろう。
実際には大きさにばらつきがあり、小型のものもいた。けっこうな種類が繁栄していたともいえる。巨体維持のため年間で1トンほどもの葉を食べたとされる。
ペルム紀に絶滅
長きにわたる繁栄を誇ったが、しかし彼らはペルム紀の初期に入るころにはすべて絶滅してしまった。
最大の理由は環境変化に伴い、自分たちの生息域たる広大な森林が減少してしまい、食糧不足になったからだとされる。また石炭紀は捕食者が少ないとはいえ、敵がいなかったわけではなく、当時進出してきた原始両生類とも生存競争を繰り広げ、彼らの貴重な栄養源になり、のちの繁栄に貢献していたともされる。 しかし大型なので敵が皆無ではないといっても、よほどのことがない限り敵には襲われなかったとされる。
飢えた両生類や、大型魚ぐらいがどうにか敵としての役割に加わっていたぐらいだとされる。 古来の時代から人に恐れられてきたムカデ類、その先祖もまた、想像だにしえない怪物であり、妖怪といっても差し支えない、非常に強烈なインパクトを誇る古代動物であった。