恐竜が泳ぐ?水辺で暮らした恐竜の生態
はじめに
「恐竜は陸の生き物」というイメージ、ありませんか?でも実は、そんな固定観念をくつがえすような恐竜たちが、水辺で暮らしていたことが、近年の研究で少しずつ明らかになってきました。
泳ぐ恐竜…?
一体どんな姿で、どんな暮らしをしていたのでしょうか?今回は、水辺に適応した恐竜たちの特徴や生活スタイル、そして泳ぐ能力について、分かりやすく解説します!
陸だけじゃなかった?水辺に生きた恐竜たち
恐竜の多くは陸上を歩く動物ですが、中には水辺を好んで暮らしていた種もいました。完全に水中で生活していたわけではないものの、魚を食べたり、水中に潜ったりしていたと考えられる恐竜がいます。
代表的なのが、あの有名な肉食恐竜…
■ スピノサウルス(Spinosaurus)
白亜紀後期にアフリカで生息
全長15メートルを超える、最大級の獣脚類
長いワニのような顎と円錐形の歯
足の骨が平たく、水かきがあった可能性
近年の研究では、スピノサウルスが泳ぎながら魚を狩っていたという説が有力になっています。2020年には、尾の骨の形状がオールのように進化していたという論文も発表され、”恐竜界の水中ハンター”として注目を浴びました。
どこまで泳げた?恐竜の泳力について
では、恐竜たちはどの程度泳げたのでしょうか?実は、恐竜の泳ぎに関する直接的な証拠は非常に少ないのですが、足跡化石や骨格の構造から、いくつかの推測がされています。
■ 泳いだ跡が残る足跡化石
中国やスペインでは、水中を歩くように残された足跡化石が発見されています。これらは、恐竜が川や湖を横切っていた証拠だと考えられています。
足跡の間隔が広く、浅い
爪の痕だけが残っている
これは、足が水中に浮きつつも地面に触れていたことを示しており、「泳ぐ」というより「歩きながら漂っていた」可能性があります。
水辺に適応した恐竜たち
スピノサウルスの他にも、水辺と関わりが深かったとされる恐竜たちがいます。
■ バリオニクス(Baryonyx)
ヨーロッパに生息していたスピノサウルスの仲間
魚のウロコが胃の内容物から見つかっており、魚食性だったことが明らかに
長い前肢と大きなカギ爪を使って、水辺で魚を捕まえていた可能性あり
■ ハドロサウルス類(カモノハシ恐竜)
かつては「水生恐竜」とされていた時代もありましたが、現在では陸生とされつつも、水辺に出入りしていた説も
強い脚力と広めの足で、沼地や川を渡るのに適応していた可能性があります
泳ぎは生き延びるための術?
恐竜たちが泳ぐ必要があった理由は、いくつか考えられます。
捕食のため(魚を食べる)
天敵から逃げるため
移動や繁殖地への往復のため
現代のゾウやクマなども、泳ぎが得意な陸生動物の代表例ですよね。恐竜たちも、同じように水を利用していたのかもしれません。
泳ぎの得意・不得意があった?
すべての恐竜が泳げたわけではありません。骨が軽く、バランスを取るのが得意なタイプの恐竜は比較的水に強かったと考えられます。一方で、**極端に重たい体を持つ竜脚類(ブラキオサウルスなど)**は、水中での移動には不向きだった可能性も。
とはいえ、浅瀬で体を浮かせるようにして体重を分散する、なんて使い方をしていたかもしれませんね。
まとめ:恐竜と水の関係は意外と深い
恐竜=陸の王者、というイメージはありますが、水辺での暮らしに適応した恐竜たちもいたという事実は、とても面白いですよね。
スピノサウルスのように水中ハンターとして進化した種、ハドロサウルスのように湿地での生活を好んだ種、そして川を泳いで渡ったであろう獣脚類たち――。
恐竜たちは、想像以上に多様な生き方をしていたことが、少しずつ明らかになってきています。
次に川を渡る動物の姿を見たとき、「もしかして、恐竜もこんなふうに泳いでたのかも?」なんて思ってみると、古代の世界がぐっと身近に感じられるかもしれません。