恐竜の声を再現!『ダイナソー・クワイア』が奏でる古代の音色
もし、ティラノサウルスが目の前で吠えたら、どんな音が響くのでしょうか?
科学者と音楽家がタッグを組み、そんなロマンを現実にしようとしているプロジェクトがあります。その名も『ダイナソー・クワイア』。
これは、太古の生き物たちの「声」を、現代の技術で蘇らせる挑戦です。
太古の鳴き声に耳を澄ます
恐竜の声は化石では残りません。けれど、彼らの頭蓋骨や気道の形を精密にスキャンし、現代の音響工学を組み合わせることで、当時の鳴き声を“再現”することができるようになってきました。
この試みに取り組んでいるのが、『ダイナソー・クワイア』という国際的なチームです。
『ダイナソー・クワイア』の仕組み
まず行われるのが、CTスキャンによる恐竜頭骨の立体解析。
特に声の通り道となる鼻腔・気管・咽頭の形状は、音の響き方に大きく影響します。
次に、その形に基づいて音響シミュレーションを行い、「もしここに空気が通ったら、どんな音が出るか?」を計算。その音をベースに、現代の動物の声と照らし合わせて仕上げていきます。
音の化石をつなぎあわせる
恐竜の声の再現には、現存する動物たちの「声」も参考にされています。
ワニの唸り声、鳥の鳴き声、それぞれが恐竜と近い系統を持っており、進化の痕跡が今も耳に届いているのです。
それを逆にたどることで、古代の音を“復元”する。まるで、時間をさかのぼって作曲するような作業です。
聴くという新しい恐竜体験
このプロジェクトの成果は、音楽として演奏されたり、展示イベントで体感できるようにもなってきました。
目を閉じて、ジャングルの中に響く巨大な足音。
そして森の奥から聞こえる、低く深い、だけどどこか哀しげな咆哮。
『ダイナソー・クワイア』は、目ではなく“耳”で楽しむ新しい恐竜体験を提案しています。
おわりに|音でつながる過去と現在
音は、時を超えて届くもの。
恐竜の「声」を再現するという試みは、科学という土台の上に築かれた、壮大な音のファンタジーです。
その音に耳を傾ければ、遠い昔に生きていた巨大な生き物たちの息づかいが、そっと心に響いてくるかもしれません。