なぜ肉食恐竜から植物食が生まれたのか|進化が選んだ“競争回避”という戦略
恐竜の進化は「強いものが勝つ」という単純な物語ではありません。
肉食恐竜の中から、あえて植物食へと転じた系統が存在します。その代表がテリジノサウルスです。
では、なぜ捕食者の系統から草食恐竜が生まれたのでしょうか。
肉食は常に有利だったのか
一見すると、肉食は生態系の頂点に立てる有利な戦略に見えます。しかし、実際には大きなリスクを伴います。
- 常に狩りに成功しなければ飢える
- 同じ獲物をめぐる競争が激しい
- 怪我のリスクが高い
大型肉食恐竜がひしめく白亜紀後期では、狩りの成功率は決して安定していなかった可能性があります。
そこで一部の系統は、別の道を選びました。
競争を避けるという進化
進化は必ずしも「より強く」なる方向に進むわけではありません。時に有効なのは、競争そのものから離れることです。
植物は常に大量に存在していました。捕食者同士で奪い合う必要もありません。
もし肉を食べる能力を少し失っても、代わりに植物を効率よく処理できる消化器官を持てば、安定したエネルギーを得られます。
これは“弱さ”ではなく、戦略の転換です。
獣脚類の体はどう変わったのか
植物食に適応した獣脚類は、次のような変化を遂げました。
- 歯が小型化し、切り裂く形状からすり潰す形状へ変化
- 首が長くなり、高所の植物を食べられるようになる
- 腹部が拡大し、発酵消化に適応
- 鉤爪は捕食用ではなく植物を引き寄せる用途へ
これはまさに肉食恐竜の設計図を流用した再設計でした。
テリジノサウルスは極端な成功例
テリジノサウルスは、その進化を極端な形で体現した存在です。
巨大な鉤爪は攻撃よりも採食に適し、体は大型化し、捕食者が簡単に手出しできないサイズに達しました。
肉食から植物食への転換は、彼らを生態系の別ポジションへと押し上げたのです。
恐竜進化の本質
恐竜は単に「巨大化」した生物ではありません。彼らは環境の変化に応じて、食性さえも大胆に変えました。
これは進化の柔軟性の証明です。
恐竜の世界では、強さよりも「適応」が勝敗を分けていました。
まとめ|進化は方向を変えることができる
肉食恐竜から植物食が生まれたのは、突然の変異ではなく、競争と環境に応じた戦略的な選択でした。
テリジノサウルスのような存在は、進化が一方向ではないことを教えてくれます。
恐竜の歴史は、強者の物語ではなく、適応の物語なのです。