恐竜が消えたあとの世界:絶滅の“直後”に何が起きたのか?
恐竜が地球から姿を消したあとの世界。
そこには、ただの「空白期間」ではなく、激しい変化と再生のプロローグがありました。
今回は、「絶滅の直後、地球に何が起こったのか?」をテーマに、哺乳類・植物・気候に起きた出来事を、最新の研究をもとにやさしくひもといてみましょう。
空が暗くなり、光が消えた地球
恐竜を絶滅させたとされる巨大隕石の衝突は、メキシコ・ユカタン半島に直撃しました。
その衝撃で巻き上がった灰と硫黄が空を覆い、数ヶ月から数年にわたり地球は闇に包まれたのです。
この現象は「インパクト・ウィンター」と呼ばれ、気温は急激に低下し、太陽の光がほとんど届かない世界が続きました。
- 植物は光合成できず、急速に枯死
- 草食恐竜は食料を失い絶滅
- それに依存していた肉食恐竜も連鎖的に消滅
森が消え、菌類の時代がやってきた
光を失った地球では、森林もまた消えていきました。
かわりに、シダ類やキノコのような胞子植物が急激に繁殖します。
この時期の地層からは、大量の胞子が見つかっており、「シダ・スパイク」と呼ばれる現象がその証拠とされています。
つまり、地球は一度、“緑”を失い、“菌”の力で命をつないだのです。
小さな哺乳類が、静かに動き出す
そんな中、生き残ったのは地中に暮らす小型哺乳類でした。
- 体が小さく、少ないエネルギーで生きられる
- 夜行性で目立ちにくい
- 雑食性で生き残りやすい
彼らは、恐竜の影に隠れていた存在ですが、恐竜の絶滅によって進化の舞台に立つチャンスを得たのです。
この哺乳類の仲間たちこそが、やがてサル、そして人類へと進化していきます。
海の中も、大きく変わっていた
地上だけではありません。
海でも多くの生き物たちが命を落としました。
でも、深海にいたプランクトンや微生物たちは生命の火を絶やさず、時間をかけて少しずつ海の生態系を立て直していきます。
“見えない小さな命”の持つしぶとさが、海を再び豊かにしたのです。
新たな緑、新たな命の時代へ
やがて空が晴れ始めると、地球はふたたび緑を取り戻し始めます。
このとき爆発的に広がったのが花を咲かせる植物(被子植物)でした。
- 色とりどりの花々
- それに引き寄せられる昆虫
- 実を食べる小動物
こうして新たな生態系のネットワークが築かれ、恐竜とはまったく異なる命のステージが始まったのです。
おわりに:絶滅は、終わりではなかった
恐竜の時代は、たしかにひとつの「終焉」でした。
でも、それは新しい命たちが動き出すきっかけでもあったのです。
次に恐竜展を訪れたとき、「彼らのあとの世界はどうだったんだろう?」と想像してみてください。
闇の中で芽吹いた小さな命たちが、あなたの祖先につながっていたかもしれません。