「恐竜の進化がひと目でわかる！系統樹を図解で徹底解説」

恐竜は2億年以上にわたり進化し続け、姿かたちも生態も驚くほど多様化しました。
しかし、その進化の道のりは「複雑でわかりにくい」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、恐竜の進化を“ひと目で理解できる”ように、
「系統樹（けいとうじゅ）」という視点からわかりやすく解説していきます。

恐竜はどこから来て、どう分かれ、どんな姿に進化していったのか。
その流れをつかむだけで、恐竜の知識が一気に立体的になります。

恐竜のスタート地点はどこ？すべては「主竜類」から始まった

恐竜の進化を語るうえで欠かせないのが、彼らの大元となるグループ
「主竜類（アーコサウリア）」です。

主竜類は、現代のワニや鳥も含む“非常に大きな親戚集団”で、恐竜はその一部。
つまり、恐竜は最初から特殊な存在だったわけではなく、
広大な進化の森の中から枝分かれした一系統に過ぎませんでした。

主竜類は大きく2つに分かれます。

• ワニ形類（クルロタルシ）：ワニ・祖先型ワニ・水生捕食者など
• 恐竜・翼竜型（アヴィメタテラ）：恐竜・翼竜・鳥類の系統

このうち“恐竜”が生まれるのは後者。
ここからさらに枝が伸び、恐竜らしい特徴をもつ動物が登場していきます。

恐竜の誕生！“恐竜らしさ”を持った生き物とは？

恐竜の始まりはおよそ2億3000万年前の三畳紀。
この時代には、鳥に近い小型肉食動物や、二足歩行の俊敏な生物が現れます。

恐竜の特徴として重要なのは、
「真っすぐ伸びた脚」「硬い骨盤構造」「高い活動性」の3点です。

これらをそなえた動物たちは“恐竜型”として系統樹の枝を伸ばし、
やがて“本当の恐竜”が誕生します。

恐竜は二つのグループに分かれる【鳥盤類・竜盤類】

恐竜が誕生して間もなく、進化は大きく2つのルートに枝分かれします。

• 鳥盤類（ちょうばんるい）：植物食中心、トリケラトプス・ステゴサウルスなど
• 竜盤類（りゅうばんるい）：肉食・巨大草食、ティラノサウルス・ブラキオサウルスなど

ここが恐竜系統樹でもっとも重要な分岐点です。

① 鳥盤類｜植物食恐竜の黄金時代

鳥盤類は“鳥の骨盤のように見える”構造を持つ恐竜。
実は鳥は鳥盤類ではなく竜盤類から進化しているため、
この名前はちょっとしたトリックでもあります。

鳥盤類は以下の系統に枝分かれしていきます。

• 装盾類：ステゴサウルス、アンキロサウルス
• 角竜類：トリケラトプスの仲間
• 鳥脚類：イグアノドン、ハドロサウルス類

草を食べるための歯の進化、群れで暮らす社会性など、
環境の変化に合わせて細かく適応していきました。

② 竜盤類｜肉食と巨大化を極めた恐竜たち

竜盤類は“トカゲのような骨盤”という意味で、
鳥盤類とは逆の方向へ進化していきます。

竜盤類は、さらに次の2系統に分かれます。

• 獣脚類（じゅうきゃくるい）：ティラノサウルス、ヴェロキラプトルなどの肉食恐竜
• 竜脚形類（りゅうきゃくけいるい）：ブラキオサウルスなどの巨大草食恐竜

獣脚類は軽量化とスピードを獲得し、
竜脚形類は巨大化して天敵に対抗する道を選びました。

鳥類はどこから来た？答えは「獣脚類の枝」

恐竜の系統樹で最もドラマチックな進化は、やはり“鳥類の誕生”。

鳥は、竜盤類の中の獣脚類から進化したと考えられています。

特にドロマエオサウルス類（ラプトルの仲間）が
鳥に極めて近い特徴を持っており、
羽毛・温血性・高い知能などが共通しています。

恐竜は絶滅したわけではありません。
系統樹をたどると──
「鳥こそ恐竜の生き残りである」という結論が見えてきます。

恐竜の系統樹が教えてくれるもの

系統樹を理解すると、恐竜の進化はただの“種類の羅列”ではなく、
明確な流れと分岐の物語であることがわかります。

小型 → 中型 → 大型へ
二足歩行 → 四足歩行へ
昆虫食 → 草食 → 肉食へ
羽毛 → 飛翔への進化へ

このように、恐竜は環境の変化に合わせて枝分かれし、
地球の歴史の中で最も成功した生物群のひとつとなりました。

まとめ：系統樹を知ると恐竜はもっと面白くなる

恐竜の系統樹は、進化の道のりを描いた
大きな“生命の地図”のようなものです。

どこから来て、どこへ行き、
何が残り、何が途絶えたのか──。

その全体像をつかむことで、恐竜の物語は立体的になり、
ひとつひとつの種にも背景とドラマが見えてきます。

あなたが好きな恐竜は、
系統樹のどの枝に立っていますか？
その枝をたどれば、彼らのルーツと進化の秘密が見えてきます。