小型ハドロサウルスの卵をCTで解析!恐竜胚の内部構造を初解明
はじめに|“まだ生まれていない恐竜”を見たことがありますか?
化石といえば、カチカチに固まった骨や歯を想像しがちですよね。
でも今回注目されたのは、なんと恐竜の「赤ちゃん」。それも卵の中で眠る、小さな命の姿です。
科学の目が、9900万年前の胎内にまで届いた──そんな胸躍る発見がありました。
どうやって“卵の中身”を見たの?
化石は壊さずに中を見るのが鉄則。でも中身が石のように固まっていたら、どうします?
ここで活躍したのが、マイクロCTスキャン。医療でも使われるこの技術で、卵をまるごと撮影したんです。
対象となったのは、体長わずか1メートルの小型ハドロサウルスの卵。
そこに眠っていた胚──つまり“恐竜の胎児”が、ついに姿を現しました。
浮かび上がった骨たち|まるで未来から来たレントゲン
スキャンで明らかになったのは、頭蓋骨、背骨、手足といった骨格の全容。
それはもはや芸術のように繊細で、生々しい“命の設計図”でした。
- 前足が大きめ=つかむ・支える動作が重要だった?
- 頭がまるく、歯はまだ生えきっていない
- 骨が柔らかく、関節はまだゆるい=まさに誕生寸前
この情報だけで、どれだけ多くの“生きていた証”が読み取れるか、想像してみてください。
この恐竜は「生まれたら即・自立型」だった?
胚の成熟度からわかったのは、孵化直後からある程度動けた可能性があるということ。
つまり、親に甘えることなく、すぐに周囲を歩き回っていたかもしれないんです。
恐竜たちにも、「完全自立型」と「親の保護下で育つ型」がいたと考えると、まるで現代の動物みたいですよね。
なぜ、今になって見えたのか?
実はこの卵、数十年前から博物館に保管されていた“眠れる標本”でした。
でも、当時の技術では中を見ることは不可能だったんです。
最新の非破壊CT解析技術と3Dデータ処理が、それを可能にしました。
科学が進化することで、“過去の発見”が再び輝き出す…そんな時代に私たちは生きているんですね。
おわりに|卵の中にあった「時を越える命」
恐竜の卵を前にして、「ああ、可愛い」なんて思うこと、ありますか?
でもその中には、進化の痕跡、子育ての戦略、生き抜く知恵がぎっしり詰まっているんです。
博物館で卵の化石を見かけたら、ぜひ少し立ち止まって、想像してみてください。
その中にいた“生まれかけの恐竜”が、あなたの胸の中で動き出すかもしれません。